営業支援、営業代行、テレアポ代行の
スケールグローバル株式会社
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長らく休業していた弊社Takmaxを再稼働させるべく奔走しているときに、銀座のフレンチレストラン数店舗をM&Aして、そのレストランのコースのしめに出てくるカレーを商品化したばかりでこれをフックにビジネスを展開したい、という社長様と出会いました。ぜひ、業務委託で、というお話をさせて頂いたのですが、やはり外からではなく中に入って喧々諤々一緒にやってもらえないか、というオファーを頂きました。迷いましたが、荒野でたった一人で新しい食品ビジネスを立ち上げ収益化させるという、今まで経験したことのないことがお給料を頂きながらできる、ということで入社の意思を固めました。
<1人で事業立ち上げに着手>
また初めての業界に40前にして飛び込むことになりました。そして今度は学ぶべき相手が社内にいない上、ある程度事業として自分の給与分くらいのキャッシュフローを生むようになるまで部下アシスタントは不在のまま事業開発に必要な事務作業まで一人で完結させなければなりません。まず、食品販売でもBtoBtoC(卸)もあるし、BtoC(EC、自店舗店頭販売)もあります。同時並行で進めることにしました。
<食品の営業>
新規顧客開拓というのはどの業界でも同じです。1から電話営業をすることになります。そもそも食品メーカーではなく、レストランが祖業で、PBのレトルトカレーをOEMで開発してもらって、レストラン運営会社の名前を販売元にして売る、という形態なので、食品問屋との口座を作るところから始めねばならないわけです。ECが簡単にできる時代とは言え、全国的に知名度もさほどないフレンチのカレーをいきなり販売したところ立ち上げただけでは訪問もされません。手始めに利益は多少下がっても量をさばかねばならないので、とにかく小売チェーンと食品問屋と名のつくところに大小かたっぱしから電話営業をしました。売上をあげるには取り扱いしてもらえるスーパーを増やさねばなりません。少なくとも生産ロットを1/3ルール(食品業界の賞味期限のルール)で納品拒否される期限までに売りきらねば大量のロスが出てしまいます。
<小売チェーンと食品問屋>
レトルトカレーの分野は「加工食品」ですので、グローサリー部門にカテゴライズされます。名もなきメーカーのしかも上代(小売価格)が高い商品、1SKU(JANコード一つ分)のみの取り扱いで、どうやって配荷数を増やしていくのか、誰にも教わらないまま、あらゆるトライをしました。まず、したので、そもそも通年で卸したとしても年間取扱額が問屋で決められた規定値に及ばないと最初はどこも門前払いになりました。スーパーと呼ばれる業態の会社には水産、畜産、青果、惣菜、グローサリー、日配と部門ごとにバイヤーがおり、それぞれのバイヤーに問屋の営業マンが貼りついています。小売チェーンごとに結び付きの強い問屋とそうでない問屋とあり、見極めながらお付き合いすることになります。
<試食会での好評とサンプル営業>
前述しましたが、平均的なレトルトカレーの上代が250円台であるのに、当社のは希望小売600円近い商品でしたので、当然ながら扱ってもらえるチェーンとそうでないチェーンがありました。ドラッグストアやディスカウントストア、EDLP(Everyday Law Price)を謳うチェーンさんではバイヤーに会っても頂けず、マス向けのチェーンさんでも難しいといわれ、やはりターゲットは高級スーパー(量販店に対し、ときに質販店といわれます)になりました。しかし、高級スーパーさんは店舗数が少なく販売量としてはどうしても小さくなるため、マス向けの大手チェーンさんにも売り込みました。小売業界では、年に2回4月と10月のそれぞれ春夏と秋冬の棚割りというのがあり、その前のタイミングで試食会や商談が各スーパーさんの中の各部門の中の最も取引額の大きな問屋が主導で実施されます。この年2回のチャンスをしっかりものにするために、商談を重ね事前にバイヤーに試食をしてもらうのです。強気の価格設定の分、味にも自信がありました。フレンチ仕込みの牛肉がゴロっと入っているのですが、これが非常に食べごたえがあり、実は希望小売800円にしても良いくらいのクオリティーに仕上がっていました。バイヤーに会うまでは苦労しますが、一度試食してもらうと、ほとんどが「やりましょう」と言って頂けて、取り扱い店舗数はチェーン合計で100店だったのが私が営業し始めて半年で350店まで拡大しました。バイヤーに試食してもらうためには各問屋の営業担当に先に商品を知ってもらわねばなりません。ひたすら担当営業の方の名前を聞き出し、サンプルを送りつけました。これが功を奏したのか、問屋さんの地方支店からもお声がかかるようになり、やがて取り扱い店は首都圏だけでなく全国に少しずつではあるものの取り扱いを増やしていくことができました。
<シリーズ第二弾の企画開発とパッケージのリニューアル>
肝心の味を消費者に分かってもらうためには手にとってもらわねば始まりません。パッケージに難ありとバイヤーに指摘されることが多く、さらに単品セールスでは非常に効率がよくないことが分かっていたので、第二弾として肉ゴロゴロ入った「ハヤシ」を開発することにしました。開発も自分の仕事です。普通の食品メーカーならば営業が兼任することはありえないのですが、当社は事情が異なりますので、私が商品開発、パッケージデザイン、価格設定、販売計画、全て一気通貫で行いました。商品開発は骨が折れました。元になるフレンチレストランのシェフと愛媛県にあるOEM先と行き来し、納得のいくところまで味を吟味し、希望小売と具材の原料価格と睨めっこをし、同時にパッケージデザインのために写真撮影やデザイン会社とのやり取り、社内での試食チェックを終え、半年がかりでバイヤーに試食してもらうところまでこぎつけたのです。
<幻のハヤシ発売>
2018年の秋冬棚割り商談会の終盤に差し掛かりハヤシの取り扱い店舗が発表になる前に、突如経営体制の刷新があり、本業に専念するということで食品事業の停止が決まりました。これからというときの経営判断に私も晴天の霹靂でしたが、止む無く商談終えた先、これからの先、全てにお詫びをし、発売一歩手前まできた新商品は、初回生産を終えた時点で発売取りやめにしました。今でも悔しくて、あのまま発売になっていたらどんな未来が描けていたかと思います。